どうもSNAKEです。
先日の記事でも書きましたが最近の天然ガス価格がなかなかにえぐい上昇をたどっていますが、その影響か大手都市ガス3社の株価が調整局面を迎えております。
株価の調整に関しては天然ガス価格以外の要因も多岐に渡ってあるかもしれませんが・・・
Contents
2021年10月現在の都市ガス大手3社への投資について
私なりの考えをより深堀して記事にしました。
結論から申し上げますと私自身今回投資するつもりであります。
ちなみに大手3社とはここでは東京ガス、大阪ガス、東邦ガスの3社です。
私個人としてはなかなかに興味深いところまで株価の調整をしたため少し精査してみました。
また都市ガス大手以外にもLNG(液化天然ガス)の価格は国内の発電にもしようされていることから、電力大手へ影響も少なからずあると思います。私たちの生活に関係してくるため我々消費者にとってはあまり嬉しいものでは無いですね。
くれぐれも投資判断はご自身でお考え下さいませ
都市ガス大手を取り巻く環境と今後
まずは都市ガス企業を取り巻く環境についてをまとめてみます。
天然ガス価格の高騰
記事の冒頭でも書いた通り天然ガスの価格が暴騰しております。
主な要因としてはヨーロッパでの経済再開による需要の増大、中国での購入量が増大ということですが、そもそも天然ガス自体がCO2排出量が少ない化石燃料のため火力発電において石炭から天然ガスへのシフトが天然ガスの需要が高まる要因になっています。
また原油・天然ガスの採掘自体が以前よりも抑制されており需給のバランスも崩れてしまいました。
結局のところ世界的にはカーボンニュートラルを進めておりますが、その際に石油、石炭を燃やしてエネルギーにするより天然ガスの方がCO2は少ないけど0にはならない、そのため再生エネルギー(太陽光、風力、水力)メインで発電するというのが理想ですが、再エネが不安定で足りないという背景もあります。
また新興国では今後天然ガスの需要が伸びるという予測のため一気に価格の下落に傾くのは難しいかもしれません。
天然ガス依存からの脱却の必要性
天然ガスは石油・石炭よりもCO2排出量が少ないクリーンなエネルギーとして注目されてきておりますが、世界の動向はかなりスピーディで既に微妙な存在になりつつあります。
全くCO2を排出しないわけではないためやはり再エネへの転換が求められます。
再エネのメリットとして、CO2の排出削減の他にもエネルギー自給率の向上、雇用創生、地域経済の活性化などもあるため大切な投資先であると思います。
天然ガス以外のエネルギーを持つことでのビジネスの多角化もあるため将来的な企業の価値を高めてくれそうでもあります。
そしてエネルギーを扱う企業としては率先的に再エネへの投資を行っていますが勿論初期費用が掛かるため財務的な影響が出ますし、償却を終え利益を出すとなると長期を要します。
業績への影響
まず投資をするにあたって気になるのが天然ガスの高騰による業績への影響だと思います。
これに関してはニュースでも少し触れられているように、LNG(液化天然ガス)価格が高騰したからと言ってすぐに影響があるわけでなく事前に決められた価格で長期購入を契約するため将来のガスの購入価格の高騰を踏まえての株価の調整と言えるでしょう。
また円安にも傾いているため今後のLNG調達コスト増大がすさまじいことになりそうですが
私個人としては影響が無いとは言いませんがむしろ今が絶好のチャンスだと思っています。
主な要因は以下の2つで
・ある程度のしわ寄せがユーザーのに反映される
・いずれは価格が戻る
と考えています。
まず一つ目ですが
私自身エネルギー系のインフラ企業に勤めておりますがまず大まかな仕事内容としては
エネルギー系のガス・電力会社としては日本国内ではあまり化石燃料を採掘できないため輸入に頼らざるおえません。
この輸入をするにあたっては先ほど書いた通り決められた価格で長期購入をするということである程度の量を決まった価格確保できるということ、そしてこの契約を年に何度か交渉する(ここら辺は企業ごとによって変わるので不明ですごめんなさい)ことで年間(複数年)の購入量・購入価格がある程度見通しを付けるといった勘定を行います。
この勘定して今度はある程度の利益が出るように価格設定をしてユーザーへ供給をする。
つまり大事なことは
・安定供給
非常時には迅速な対応で人々の生活を守るということが何よりも大事。無くなった場合の影響がすさまじい。
・利益勘定
そもそも利益が出ないとより安定したインフラの構築、優秀な人材の確保が困難であるため存続のために重要。ユーザーには申し訳ないがある程度の価格を我慢し貰わないと質の低下の方がトータルでデメリットしかない。
というところに収束するのかなと。
インフラ系のお仕事についてはこちらを
そして二つ目ですが
価格がいずれ戻るといること
昨年の原油の歴史的な安値から今現在高騰しています。
昨年の原油では各国で鉱区開発を辞め減産をしたことで原油の在庫を調整しその後今度は需要が高まり現在価格が高騰しておりますが
あまりにも高いもしくは安いとなると困る人が出てくるわけであり、価格調整をすべく各機関・政府・企業など様々な人々が働きかけるということです。
すぐに天然ガスの需要が0になるわけでなくむしろ当分は需要が高まることから原産国の場合価格の高い天然ガスを増産することで大きな利益が期待できます。
おそらく今度の高騰もある程度の落としどころが決まったら増産することで今度は急落が起きてもおかしくないのではないでしょうか。
というよりも生産国、企業としても歴史的な高値で天然ガスを売却できることからかなりのチャンスということです(こういった投資先はすでに株価が高いためおすすめできませんが)。
本来こういった価格変動がすさまじいときには投資しない方が安全ですが、逆にあまりにも高騰(暴落)している時は逆に作用することを期待して投資するのが自然かと思うので少しだけ投資してみてもリターンが美味しいかもしれませんね。
都市ガス大手3社の現在の状況(投資編)
まずは実際に都市ガス大手のチャートを見てみます。
大手3社の都市ガス銘柄である東京ガス、大阪ガス、東邦ガスのチャートをそれぞれ3か月、1年、5年で貼っていきます。
東京ガス
まずは最大手東京ガスのチャートからです。
東京ガス3ヶ月チャート
この3ヶ月のチャートを見てみると調整局面であることが伺えますね。
東京ガス1年チャート
2回ほど株価が上がった後に調整局面が続いています。
こうしてみるとなかなか株価下落していますね。
東京ガス5年チャート
直近2~3年で株価の調整が続いている形を描いています。
長期投資家にとっては結構辛い形ですね。
大阪ガス
続いては関西地区に都市ガスを供給している大阪ガスです。
大阪ガス3ヶ月チャート
チャートの形は東京ガスとかなり似ていますね。やはりここ最近は株価が弱いということで買ってもいいのかもと思わされます。
大阪ガス1年チャート
1年間のチャートでは東京ガスとは違いボックス相場で一定の価格間での値動きをしているように伺えます。
大阪ガス5年チャート
5年チャートもボックス相場でありますが全体的に右肩下がりのチャートとなっています。
長期投資よりもレンジでのトレードが良さそうに思います。
東邦ガス
最後は愛知県周辺に供給する東邦ガスです。
東邦ガス3ヶ月チャート
ヨコヨコの展開からの下落となっていますね。
東邦ガス1年チャート
上げてからの大きな調整ということで急勾配ですね。
東邦ガス5年チャート
これはいったい何なんでしょうね?笑
とりあえず最近の調整が異常ということだけが分かります。
3社比較チャート
最後に3社の5年間での比較チャートをご覧下さい。
青:東京ガス オレンジ:大阪ガス 水色:東邦ガス
まず率直な感想としてガス業界自体の株価があまりよくないです。
実は東邦ガスに関しては10年スパンで株価を見ると株価の上昇がすさまじいのですがそれ以外の東京ガス、大阪ガスでは株価は奮わずといった印象です。
そしてこの5年では三社ともあまり株価は良くない状況ですが日経平均に追随するわけでなくやはり
・利益が弱い
・天然ガス価格の高騰(主に直近ですが)
この二つが要因かな?という印象。
着実に利益を出していても市場への評価とはならず、成長性などを踏まえての株価かもしれません。
儲けすぎてはならない企業の宿命と言ったところでしょうか。
こちらが10年でのチャートとなりますが、東邦ガスが強かった歴史があります。
様々な要因があると思いますが今現在の株価はどこも弱いですね。
株価が冴えない理由としても天然ガス価格・為替もありますがインフラ維持・延長、設備投資(再エネや他分野)などにキャッシュフローを吸われているのも要因かと思います。
このような企業が大きく上がるということがあまりないためテンバガーなどは現実的でないですね。
各社の特色
供給エリア、事業内容などはここでは触れず投資関係の要因を軽く書いていきます。
殆ど以前の記事からの転用となります。
・東京ガス
現状価格では配当3%程度とまずまずの良さ、国内で最大手という強み。
高配当というほどではないという点であるが、予想利益に対する配当性向が私的に高い。
定期的な自社株買いは最高ですが、株主還元に力を入れているのが感じられ本音を言うと増配をもっとして欲しいけどきつそう。
何より配当性向が高いということは業界にとって再エネへの投資が障害になり難しいかもしれない。
・大阪ガス
東京ガスに劣る配当利回りであるが、配当性向はいい感じ。
私個人としてはこの程度の利回りで少しずつ増配してくれる企業が好きである。
そして大阪ガスは増配基調であるのでありがたい。
ある程度配当性向が低い企業は自社株買いも期待したい。
・東邦ガス
配当利回り、perが微妙であるが他の2社にはない株主優待があるのが強み、財務的に自己資本比率が良いと思う、将来的に供給エリアの問題などもあるためここが懸念点。
私が今回投資する理由
まだ投資先、投資金額は決めていませんがおそらく投資すると思います。
投資する理由としては
天然ガスを長期契約で購入しているため直ちに影響が出ないこと、影響が出たら顧客のガス代である程度は賄うため
いずれ天然ガス価格が戻って来る(今現在は高いため懸念材料で株価が安い)
商社、オイルメジャーに私が投資しているため価格上昇(維持)してもカバーできる(円安傾向で米国株への投資もちょっと微妙)
この3つの理由となります。
株価が上がるかは誰にも分かりませんが現在の株価はいずれ割安になると思います。
投資の目的地(売却等の出口戦略)
投資するならばなぜ投資するのかも重要になって来ると思います。
ここからは投資の目的(出口戦略等)を書いていきます。
まず3社共に決して高配当銘柄ではないためある程度のキャピタルゲイン(株価上昇)目的で投資が必要であると言えます。東邦ガスの場合は長期投資による株主優待がありますがトータルで得か微妙なイメージ。
2~3年スパンでの投資であると増配基調で配当性向に余裕がある大阪ガスが面白い。
結局のところキャピタルゲインを得るためにはある程度天然ガス価格が下がるのを待つ展開となります(天然ガスショートしろと言われそうですが笑)。
売却のタイミングとしては2~3年で30~50%程度取れたら嬉しいなという感じです。
長期投資しない理由
これは簡単ですが2つあります。
私自身基本的に長期投資が好きですが勿論例外もあります。
長期での値上がりが期待できない
まず一つ目が長期で投資しても米国株のように上昇し続けるということは無さそうであるためです。
チャートで見た限り東邦ガス以外はレンジ(ボックス)での株価推移をしていたことである程度の値動き間でのトレードが優位であります。
結局メインのビジネスがガスの供給であり供給エリアで段階的な人口増加、産業の活性化が無い限り伸びないことや電気・ガスの自由化で電気の販売もできるようになりましたがどの程度伸びるのかも微妙なこともあります。
むしろガス自由化で契約数は落ちますし向かい風が強いですね。
また都市ガスパイプラインの維持更新の費用が嵩むというのもこれらの企業の宿命です。
そしてESG投資が主流となると脱CO2ではない天然ガスに対する懸念もあります。
つまりガスの価格を上げ過ぎることは難しく(顧客の生活に直結するため流出の可能性等のリスク)、インフラの維持をする必要性この2点が重くのしかかり成長性まで資金を回すとしても結構きつい部分がある、そして扱っている天然ガスという存在が資金流入へのブレーキになる可能性もあるということで結果株価も冴えないということに。
基本的にディフェンシブな銘柄のためスポットでポートフォリオのバランス調整が良いのかもしれないですね。
高配当でないこと
例えば米国株インデックスの場合年平均リターンが平均10%程度はありますが(いつまで続くかは分かりませんが)
仮に値動きがあまり無く配当利回り3%くらいの銘柄に投資してもリターンの差があまりありません。
配当が出る企業への投資において最高のパターンは安いときに購入し
低い購入価格高配当化の実現(将来的な増配があるとなおさら効果高い)
株価上昇による大きなキャピタルゲインの実現(自社株買いの株価上昇で効果高い)
こんなことがあると株主的にはかなり嬉しいですが
そもそも3%程度のそこそこの配当である場合配当が1.5倍程度まで増配しないと微妙である、そして増配ペースが悪いことから
今回の場合は2~3年配当を貰いつつ素直にキャピタルゲインを狙うというのが良いかもしれません。
実体験ですが昨年の原油安の際にロイヤルダッチシェルの株を長期投資目当てで購入しました。
原油価格にリンクする商品の方が利益が出ると思いましたが
理由としましては
いちいち原油価格を見るのがめんどくさい・定期的な配当が欲しいなどで
結果的に同銘柄は歴史的な減配をしたもののその後着実に増配をしてくれており、購入価格に対して配当利回りは6%までになりました。
本音を言えばこの3社にはこういったパターンになって欲しいですがそれには今の株価が半値にならないと無理なため現実的ではありません。
投資をするにおいてのリスク
都市ガス会社に投資するにおいてのリスクの一部について紹介します。
災害リスク
まず何より怖いのが災害リスクであります。
災害による損害でインフラの停止や補修費用での株価が下落するパターンがあります。当然ながらこういった場合は基本的に被害の程度によりますが非常時への対応策として、インフラ系、大手商社等様々な企業で導入されている
BCM(Business Continuity Plan)・・・事業継続計画の策定してあり
ある程度の災害を想定した場合の対策案を持っていることから事業の被害を最低限に抑える取り組みもされています。
ここまでの対策を通りぬけての大損害については正直受容するしかないですが、正直このレベルになると他の会社もただでは済まなくなります。
事故などのトラブルによるリスク
全く関係ない事故などによるリスクも混在します。
たとえば都市ガスのパイプラインの物理的損傷、LNGコンテナ船のトラブルによる供給不安等実は結構トラブルは付き物なのです。
人々の生活を守る側面もあり表向きは安定した会社で入社できれば安泰のイメージですが
実際に供給に携わる部分は結構のトラブルが多発しているのも事実です。
こういったトラブルで収集が付かなくなるほどの大きなトラブルが発生すると痛いです。
上で書いた自然災害とは異なり社内のトラブルに関してはどうしようもありません。
集中投資しすぎないことでリスクを受容するのみでしょうか。
調達リスク
本記事で既に触れている部分になりますが、天然ガス価格・為替などの影響を懸念が主になります。今回もこれが当てはまる部分があります外部要因が大きいためこれに関しては0にはならないことから受容せざるおえません。
逆に必要以上に株価が下落をしてくれるならチャンスと捉えるべき要因であると思います。
事業自体のリスク
まず天然ガスという燃やすとCO2が出るというものを扱っているため影響以上に市場に冷ややかな目で見られ資金流入せずに株価が下落するということ。
これに対応すべく再エネへの投資に関してのコストがかかり、安定供給する必要のあるためパイプラインなどインフラの維持にコストがかかる。
勿論再エネへの投資は重要であるため株価への良い影響を期待したい。
まとめ
とにかく都市ガス大手の株価が安いです。
天然ガスの価格が今後どのように推移していくかは誰にも分かりませんが記録的な価格を維持することが考えにくいため長期では増産を挟み落ち着いて欲しいです。
まず投資をするにあたりは様々な要因がありますが、一概に天然ガス価格・為替を意識するだけでなく将来を見据えるとなるとインフラ維持のコスト、再エネへの投資コストなどが必要であるため、長期で投資しても見合ったリターンを得られるかが微妙なところです。